
みなさんがよく知る精神疾患の一つに「統合失調症」があると思います。名前は聞いたことがあっても、「実際にはどんな病気なのか」「看護師はどのように関わるのか」までイメージできている人は、意外と少ないかもしれません。
実際、統合失調症の罹患率は約100人に1人とされ、決して珍しい疾患ではありません。誰にでも起こりうる精神疾患であり、思春期から青年期にかけて発症することが多いと言われています。
今回は、統合失調症について以下の点を中心にまとめていきます。
- どのような症状が出現するのか
- どのような治療が行われるのか
- 看護師はどのように関わるのか
本記事は、以下のような方におすすめです。
少しでも参考になれば幸いです。
それでは、さっそく始めていきましょう。
統合失調症の概要
統合失調症は、生物学的な脆弱性(なりやすさ)に環境ストレス、特に対人関係のストレスなどが重なって発症する精神疾患です。
脳の情報処理のバランスが崩れることで、考えや感情、行動がうまくまとまりにくくなります。
特徴的な症状は、大きく次の3つに分けられます。
1つ目は、幻覚や妄想などがみられる「陽性症状」です。
2つ目は、意欲低下、感情の平板化、引きこもりなどの「陰性症状」です。
3つ目は、注意集中困難や遂行機能障害などの「認知機能障害」です。
これらの症状は、病気の経過とともに変化していくという特徴があります。
また、従来は症状の現れ方によって、
- 幻覚や妄想が中心の「妄想型」
- 意欲低下や思考のまとまりにくさが目立つ「破瓜型(解体型)」
- 緊張や奇異な行動が中心の「緊張型」
といった病型分類が用いられてきました。
現在では病型分類を重視しない考え方も広まっていますが、症状理解の参考として知っておくと役立ちます。
統合失調症は、長期的な治療やリハビリテーションが必要になることも多い疾患です。しかし、包括的な治療や支援によって回復していくケースも多く、近年では軽症化してきているとも言われています。
統合失調症の病因と治療
統合失調症の詳細な病因はいまだ完全には解明されていません。
しかし、胎生期の神経発達障害を基盤とした生得的な素因に、環境要因が複雑に関与するという考え方が有力です。
この考え方は、「ストレス‐脆弱性‐対処技能モデル」と呼ばれ、病態理解の基盤として用いられています。
思春期以降に脳の情報処理が高度化すると、ドパミン神経系の機能亢進やグルタミン酸神経系の機能低下が生じ、特有の精神症状が現れると考えられています。
治療は、急性期・回復期・慢性期という病期に応じて、薬物療法と心理社会的療法を組み合わせて行われます。
統合失調症への看護
統合失調症への看護は、病期によって大きく異なります。
そのため、受け持ち患者さんが今どの病期にあるのかを把握することは、とても重要です。
以下では、各病期における看護のポイントを簡単に説明します。
急性期の看護
急性期は、幻覚や妄想といった陽性症状が強く現れ、集中的な治療が必要となる時期です。治療の目的は、症状の軽減、不安や緊張の緩和、安全の確保、睡眠や栄養といった基本的な生活機能の維持です。
精神運動興奮が著しい場合や、幻覚妄想が激しい場合には入院治療が必要になります。
本人に病識がなく治療に協力的でない場合、医療保護入院や、切迫した自傷他害の危険がある場合には措置入院が選択されることもあります。
これらの対応は本人の安全を守るために行われますが、患者さんにとっては大きな苦痛を伴う体験になることも少なくありません。入院中、もっとも長い時間を患者さんと共に過ごすのは看護師です。そのため、患者さんの思いを受け止めながら、安心できる環境を整え、治療につなげていくことが看護師の重要な役割となります。
急性期の看護では、まず安全の確保と環境調整を最優先します。
その上で、薬物療法の効果や副作用を観察し、セルフケアが困難な部分について援助を行っていきます。
回復期の看護
回復期は、陽性症状が軽減し、現実検討能力が徐々に回復してくる時期です。
一方で、こころとからだの両面での疲弊が目立ちやすくなります。
また、自分の体験が精神疾患の症状だったと気づき始めることで、抑うつ感や絶望感、将来への不安が生じやすくなります。
この時期の看護では、まず十分に休息をとれるよう支援することが大切です。
その上で、心理教育を導入し、疾患や治療について正しい理解を促し、治療への動機づけを高めていきます。
本人だけでなく、家族に対しても心理教育を行い、疾患理解を深めてもらうことが重要です。また、薬物療法の副作用にも注意し、こころとからだの両方を支える関わりが求められます。
慢性期の看護
慢性期では、認知機能障害や生活障害がさまざまな程度で残存します。
これらを適切に評価し、個別性に応じたリハビリテーションや社会資源を導入していきます。
薬物療法では、有害作用を観察しながら、できるだけ継続しやすい治療内容に調整することが重要です。デイケアや訪問看護を活用した服薬支援、デポ剤の導入なども選択肢となります。
慢性期の看護では、治療を継続し再発を予防すること、そして地域生活を見据え、安心して生活できるよう支援することが大切です。
まとめ
今回は、統合失調症の症状、治療、看護について説明しました。
症状や治療については文献でも学べますが、本記事では看護の視点を中心にまとめました。これらの看護は、看護師だけで完結するものではありません。本人や家族の思いを大切にしながら、医師、薬剤師、精神保健福祉士、作業療法士、訪問看護師など、多職種と連携して行うことが重要です。
近年では、早期発見・早期治療により、外来治療で安定した生活を送れるケースも増えています。気になる症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
今後も精神看護に関する情報を発信していきますので、ぜひ読んでいただければと思います。それでは、また次回の投稿でお会いしましょう。
