精神看護学のススメ

看護系大学教員(精神看護学)の備忘録.

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研究活動

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みなさんどうも, なるとんです.

 

研究を通して社会に貢献する」ことは, 僕たち研究者の使命の一つです.

研究によって, 自分の専門領域の学問に新たな知見を見出し, 発展させていきます.

昔, 恩師から「千人の署名よりも一本の論文」と言われたことは未だに忘れません.

 

現在の僕の研究について, 社会的な意義と内容を簡単にですが紹介したいと思います.

 

自殺対策

現在, 日本では年間におよそ2万人もの人々が自ら命を絶っています. この数字は, 世界でみても高い水準にあり, そもそも自殺者が一万人を超える国は世界でも11カ国しかないという現状もあります. 

 

自殺は, その当事者に関わった人々に深い精神的な影響を与えるのみでなく, 莫大な経済的損失(もしもその人が健康に生きていたら生涯に渡ってどのくらいの利益を生んだのかというもの)を生じさせているということもわかっており, 日本における自殺対策は喫緊の重要な健康課題であると言えるでしょう.

 

この自殺対策について, 厚労省では「自殺総合対策大綱」の中で, ゲートキーパーの養成を重点施策の一つとして掲げています. 

 

以下に大綱のURLを貼りますが, 4つ目に掲げられています.

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000172355.pdf

 

ゲートキーパーについて, 厚労省のサイトを確認すると...

ゲートキーパー」とは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人のことで、言わば「命の門番」とも位置付けられる人のことです。

自殺対策では、悩んでいる人に寄り添い、関わりを通して「孤立・孤独」を防ぎ、支援することが重要です。1人でも多くの方に、ゲートキーパーとしての意識を持っていただき、専門性の有無にかかわらず、それぞれの立場でできることから進んで行動を起こしていくことが自殺対策につながります。

「自殺総合対策大綱(平成19年6月8日閣議決定)」においては、9つの当面の重点施策の一つとしてゲートキーパーの養成を掲げ、かかりつけの医師を始め、教職員、保健師、看護師、ケアマネージャー、民生委員、児童委員、各種相談窓口担当者など、関連するあらゆる分野の人材にゲートキーパーとなっていただけるよう研修等を行うことが規定されています。

また、ゲートキーパーは、我が国のみならず海外でも、自殺対策の分野でも広く使用されている用語、概念であって、WHO(世界保健機関)を始め、多くの国々で使用され、その養成プログラムが実施されています。

以上のように説明されています.

つまりは, 地域における自殺ハイリスク者への支援者を増やすということです.

 

僕は, このゲートキーパーを養成するプログラムについて研究しています.

一例を上げると...

  • どのような人が養成プログラムを受けているか
  • 今後のプログラムを検討するときの課題はなにか
  • どのような効果評価を行うのがよいか
  • 海外と比較したときに不足していることはなにか

以上のようなことについて, 文献研究や介入研究, 質問紙(アンケート)調査で調べています.

 

時差地対策に関する, 現在の僕の研究目的は, 今後のゲートキーパー養成プログラムの内容検討を行う際の基礎資料として活用してもらうことです!

 

依存症対策

近年, 様々な著名人がアルコール依存や薬物依存のために逮捕されたり, 活動を停止したりしていますね. そのときに多くの人は「甘えだ」とか「自覚が足りない」などと口にします. 

 

依存症は精神疾患であり, 本人の気持ち次第でどうにかできるようなものではありません. しかしながら, こういった正しい知識は全くと言っていいほど, 日本国内では浸透していません.

 

悲しいことに, 専門家である医療者でさえも, 依存症については否定的な感情を持ちやすいと言われています. 

 

依存症を抱える方たちに社会復帰してもらうためには, まず支援者が正しい知識を持っていなければなりません. 

 

こういった現状から, 依存症に対する医療者の意識や態度などについて実態を調査することも僕の研究活動の一つです. 

 

精神科患者を隔離から早期に解除するためのアセスメントツール作成

精神科にでは, 患者さんの状態により, 生命の危機や他者への暴力など, やむを得ず, 他に方法がない場合に, 精神保健指定医の支持により, 患者さんを保護室と呼ばれる部屋に「隔離」することができます. 

 

ただし, この隔離は最小限にしなければならず, 症状が安定すれば, すぐに解除しなければいけません. 

 

ところが, この隔離を解除するための, 明確で具体的な目安などは存在せず, 隔離解除の判断は, 看護師や医師のアセスメント能力に任されています.

 

特に, 療養上の世話を担う看護師のアセスメントは, 医師が隔離解除を判断する際の重要な情報となります. その分, 看護師もアセスメントに慎重にならざる得ず, 結果として隔離の解除に二の足踏んでしまい, 隔離室の長期的な利用につながってしまうのです. 

 

実際に, 先行研究でも隔離の解除についての看護師の苦悩や葛藤は多く報告されています. 

 

以上のことを踏まえ, 地域の精神科病院と共同研究で, 精神科患者を隔離から早期解除することを目的に, 看護師のためのアセスメントツールを作成しています. 

 

ツールを作るのはとても時間のかかることでもあり, プロジェクトが動き出してから, もう数年が経ってしまいました. なんとしても成果を出して, 看護師さんが自信を持ってアセスメントでき, 保護室へ長期入所している患者さんが早期に退室できるように死体ですね!

 

病院に入院中の精神疾患患者の家族の思いに関する研究

精神科病院へ入院する患者さんは様々です.

 

自ら入院に納得している任意入院の方もいれば, 病識がなく, 家族の同意で入院した医療保護入院の方, 半ば強制的に入院となった措置入院の方など, 本当に多くの方が入院しています. 

 

そんな患者さんの家族の中には, 患者さんが入院してくれて安心という人もいれば, 精神科に入院させてしまったことに罪悪感を感じる人もいます. 

 

このような家族に, 精神科看護師はどのような声掛けや関わりを行って支援していくのかということについても, 地域の精神科病院と共同で研究を行っています. 

 

おわりに

現在のところ, 僕が行っている研究は以上です. 

 

研究は, 自分の興味のあるテーマについて行うのが原則ではありますが, 同時にどのような社会的意義を持っているのかもとても重要です. 

 

自殺対策に関する僕の研究の一部は, 過去にヤフーニュースで取り上げて頂いたこともあります. 

 

これからも, なんのために研究を行うのか, それが社会にどのような形で貢献できるのかを考えながら, 研究活動を行いたいですね!

 

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