精神看護学のすすめ

An Invitation to Psychiatric Nursing

パーソナリティ障害とは?-症状・治療・看護のポイントをわかりやすく解説-



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今回は「パーソナリティ障害」について解説していきます。

パーソナリティ障害とは、認知や感情、対人関係、衝動性といった側面に、持続的で著しい偏りがみられ、その結果として社会生活に大きな影響が出てしまっている状態を指します。

もう少しわかりやすく言うと、物事の考え方が極端になってしまったり、自分の気持ちをうまく抑えられなかったりすることで、対人関係にトラブルが生じやすくなる状態です。その結果、反社会的な行動や逸脱行為につながってしまうこともあります。

周囲の人が離れていく一方で、本人は「見捨てられるのではないか」という強い不安を抱えています。しかし、自分一人では認知や感情、衝動性をコントロールすることが難しく、どうしてよいかわからないまま苦しんでいることが少なくありません。この見捨てられ不安がさらに症状を悪化させるという悪循環に陥りやすく、非常につらい状態にある障害だと言えます。

パーソナリティ障害は、症状の特徴によっていくつかの群に分類されますが、その現れ方は実に多様です。他の精神疾患と似た症状がみられることも多く、正確に診断することは容易ではありません。初回の診察だけで確定診断がつくことはほとんどなく、経過を丁寧に追う中で診断が変更されることもあります。

境界性パーソナリティ障害の病因と症状

今回は、パーソナリティ障害の中でも比較的よく知られている境界性パーソナリティ障害について解説します。

 

病因

境界性パーソナリティ障害の病因は、大きく先天的要因後天的要因に分けて考えられています。

先天的要因としては、遺伝的な影響が指摘されています。先行研究からは、生活環境から受けるストレスに対して病的反応を示しやすい遺伝的傾向がある可能性が示唆されており、第一度近親者では発症リスクが高いとも言われています。

後天的要因としては、幼少期の強いストレス体験が挙げられます。身体的・性的虐待、ネグレクト、養育者との分離、片親の喪失などが、境界性パーソナリティ障害の発症に関与しているケースが多いとされています。

 

症状

主な症状としては、対人関係や自己像の不安定さ、慢性的な空虚感や孤独感、見捨てられることに対する激しい不安、衝動的行動や自傷行為などが挙げられます。

これらの症状は、うつ病双極性障害ADHD、依存症など、他の精神疾患でもみられることがあり、鑑別が非常に難しい点が特徴です。背景となる情報を丁寧に集め、複数回の診察を経て、ようやく診断に至ることが多いのが実情です。

 

パーソナリティ障害の検査と治療

検査

パーソナリティ障害の診断は、患者本人に強いスティグマを与える可能性があります。そのため、慎重な姿勢が求められます。

生育歴、生活歴、家族歴、身体疾患の可能性などを詳細に確認し、診察場面での言動を丁寧に評価したうえで、心理検査や脳波検査、画像検査、血液検査などを組み合わせながら総合的に判断されます。

実際には、長年パーソナリティ障害と診断されていた患者が、再評価によって別の身体疾患と判明し、適切な治療によって改善したという報告もあります。そのため、たとえ前医で診断がついていたとしても、改めて鑑別し直す姿勢が重要だとされています。

 

治療

治療の中心となるのは精神療法です。中でも、弁証的行動療法(DBT)は、境界性パーソナリティ障害に対して有効性が示されている治療法の一つです。

DBTは、衝動的行動や自傷行為といった問題行動の背景にある「本人なりの適応への努力」に目を向け、強みを見出しながら、適応的な行動を増やしていく認知行動療法です。

薬物療法は、障害そのものではなく、併存する抑うつや不安などの症状に対して補助的に用いられます。

 

パーソナリティ障害の看護

看護師の関わりとして、特に重要な点を整理します。

1つ目は、チームで対応を統一することです。スタッフ間で対応が異なると、患者さんの混乱や不信感を招きやすくなります。情報共有を徹底し、一貫した関わりを意識することが大切です。

2つ目は、安心できる場を提供することです。こまめで具体的な声かけを通して、「あなたを気にかけている」というメッセージを伝え続けることが、信頼関係の土台になります。

3つ目は、感情の言語化と衝動性の調整を支援することです。本人だけでは難しい部分を、看護師が一緒に整理し、必要に応じて治療につなげていきます。

4つ目は、行動の振り返りを共に行うことです。看護師の考えを押し付けるのではなく、「一緒に考える」姿勢が、自己調整力の獲得につながります。

 

おわりに

パーソナリティ障害は誤解されやすく、支援する側が戸惑いや陰性感情を抱きやすい障害です。しかし、正しい知識を持ち、チームで支え合いながら関わることが、回復への近道となります。

とはいえ、時として本人の言動に陰性感情を持ってしまうこともあるでしょう。その感情は決して悪ではありません。こういった支援者自身の感情にも目を向けながら、無理をせず、患者さんと向き合っていける関係を築いていきたいですね。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また次回の記事でお会いしましょう。

 

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