精神看護学のすすめ

An Invitation to Psychiatric Nursing

双極性障害とは?-症状・治療・看護のポイントをわかりやすく解説-

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精神科実習や講義の中で、「双極性障害躁うつ病)」という言葉を耳にする機会は多いのではないでしょうか。

双極性障害は、気分が高揚する「躁状態」と、気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患であり、気分障害の一つに分類されます。

うつ病と混同されやすい疾患ですが、治療や看護の考え方は大きく異なります。そのため、看護学生のうちから正しく理解しておくことがとても重要です。

本記事では、双極性障害症状・治療・看護について、実習や国家試験を意識しながら解説していきます。

双極性障害とは

双極性障害とは、躁状態うつ状態を周期的に繰り返すことを特徴とする精神疾患です。以前は「躁うつ病」と呼ばれていました。

双極性障害には、主に次の2つの型があります。

 

Ⅰ型双極性障害

Ⅰ型では、社会生活に著しい支障をきたすほどの激しい躁状態がみられます。判断力の低下や衝動的な行動が目立ち、入院治療が必要となることも少なくありません。うつ状態も繰り返します。

 

Ⅱ型双極性障害

Ⅱ型では、躁状態が比較的軽く「軽躁状態」と呼ばれます。一方で、うつ状態ははっきりと出現するため、うつ病と誤診されやすいという特徴があります。

発症の原因は一つではなく、遺伝的要因、環境要因、心理的ストレスなどが複雑に関係していると考えられています。

 

双極性障害の症状

躁状態の症状

躁状態では、気分が異常に高揚し、活動性が著しく亢進します。

具体的には、気分が高揚して自信過剰になったり、睡眠時間が極端に短くなっても疲れを感じなかったりします。話が止まらず多弁になり、考えが次々と浮かんで注意が散漫になることもあります。

また、浪費や危険行為、対人トラブルなど、衝動的な行動が目立つようになります。重症化すると現実検討能力が低下し、社会的な問題につながることもあります。

 

うつ状態の症状

うつ状態では、抑うつ気分や意欲の低下が中心となります。

気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、疲労感、睡眠障害、食欲低下などがみられます。さらに、自分を責める気持ちが強くなり、希死念慮自殺念慮が出現することもあります。

双極性障害では、躁状態うつ状態のどちらにおいても自殺リスクが存在する点が重要な特徴です。

 

双極性障害の治療

薬物療法

双極性障害の治療の中心は薬物療法です。

代表的な薬剤として、炭酸リチウムがあります。炭酸リチウムは気分安定薬として用いられ、躁状態うつ状態の波を抑える効果があります。

ただし、炭酸リチウムは有効血中濃度の範囲が狭く、血中濃度が上昇すると中毒症状が出現する可能性があります。そのため、定期的な血中濃度測定が必要です。

中毒症状としては、手指の振戦、悪心、下痢、意識障害などがみられます。看護師は、服薬状況や身体症状を丁寧に観察する役割を担います。

そのほか、抗精神病薬や抗てんかん薬が併用されることもあります。

 

精神療法

薬物療法と並行して精神療法も行われます。

病気について正しく理解することや、自分の気分の変化に気づく力を身につけることは、再発予防につながります。心理教育は、看護師が関わる機会の多い重要な支援です。

 

双極性障害の看護

急性期の看護

急性期では、安全の確保が最優先となります。

躁状態では興奮や衝動性が強くなるため、自傷や他害のリスクを適切に評価する必要があります。状況によっては、保護室の使用を含めた環境調整を検討します。

また、活動過多になりやすいため、十分な休息がとれるよう環境を整えることが重要です。セルフケア能力が低下している場合には、清潔、食事、睡眠などを丁寧にアセスメントし、必要な援助を行います。

 

回復期の看護

回復期では、活動と休息のバランスを整えることが大切です。

症状が軽快してくると無理をしがちになるため、生活リズムを整え、再燃を防ぐ関わりが求められます。また、薬の副作用や有害作用についても引き続き観察します。

 

再発予防に向けた看護

回復期から安定期にかけては、再発予防が重要な看護の視点となります。

躁状態の前兆やきっかけとなる出来事を本人と一緒に振り返り、ストレスへの対処方法を考えていきます。服薬継続の重要性を伝えることも欠かせません。

 

うつ状態への看護

双極性障害では、躁状態のときの行動を後悔し、うつ状態で強い自責感に陥ることがあります。

そのため、希死念慮自殺念慮の有無を丁寧に確認し、否定せず受け止める姿勢が重要です。孤立を防ぎ、必要に応じて医師や多職種と連携しながら支援を行います。

 

国家試験で押さえておきたいポイント

これらは国家試験でも頻出の重要ポイントです。

 

おわりに

双極性障害は、気分の波が大きく、患者さん本人も周囲も影響を受けやすい疾患です。しかし、適切な治療と看護によって、安定した生活を送ることは十分に可能です。

 

本記事が、以下のような人のお役に立てたら嬉しいです。

  • 精神科に興味のある方
  • 精神科で働き始めたばかりの方
  • 実習や国家試験に臨む看護学生さん

今後も、精神看護を学ぶうえで役立つ情報を、わかりやすく発信していきます。

 

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